談の湯
インタビュー

第1回 松本花奈様【前編】
崎山蒼志モバイルファンクラブ「崎山寝返りの湯」にて不定期に実施する「談の湯」
このコンテンツは崎山蒼志が是非この方にインタビューしたい!という方を
お呼びし崎山自身がインタビュアーとなりお届けする対談コンテンツです。
記念すべき第1回目は映画監督であり、「国」のミュージックビデオ監督でもある松本花奈さんをお迎えし、前後編でお届けいたします。前編では、「国」のミュージックビデオや松本さんが撮影されたドラマ「平成物語」について、さらにワンマンライブ『とおとうみの国』を密着していただいた時のお話などを伺いました。




崎山 よろしくお願いします。

松本花奈(以下、松本) お願いします。

崎山 まず「国」の話からしたいんですけど…、3年前ぐらいに「国」のミュージックビデオを撮っていただいて。自分にとってすごいうれしかったのもそうですし、めちゃくちゃ素敵なMVで、自分が「国」を作っていた時の風景とも重なるような感じがあったりとかして、当時ものすごく感動したんです。
松本 もう3年前、懐かしい(笑)。

崎山 ですよね。

松本 もともとめちゃめちゃ崎山さんのファンで、何か一緒に作品作ったりとかしたいなっていう気持ちがあって。最初に「国」を聴いて、そのあと一回お話させてもらったときに、〈時を止める〉っていう歌詞について、「時間の概念がない世界だからこそ、孤独もない世界を描いてる」っておっしゃってて、ハッとしました。ミュージックビデオも崎山さんが歌っている世界っていうのが、時間の概念がある世界で、男の子と女の子が踊っているほうの世界っていうのが、逆に時間の概念がない世界というイメージで作りました。

崎山 なるほど、ありがとうございます。

松本 ビデオに出てもらった堀田真由さんの、あの踊りも即興で。

崎山 え~、そうなんですか?

松本 もともとバレエやられてたのは知ってたんですけど、「振り付けどうしましょう」と話したら、「自分でできます」って言ってくれて。

崎山 ありがたいです。僕が歌ってるのが現実のほうでっていうの、確かにお2人がいたシーンは、時間帯もよくわからない感じがしました。この場所はどうやって選ばれたんですか?

松本 場所は、水とか海っていうのをキーワードにしたいなと思ってて、桟橋がとっても印象的だったのと、ボートを借りたら海側からも撮影できるのが魅力的で、あそこに決めました。

崎山 なるほど…、できたものを見たときに、〈わ、すごい〉と思いました。

松本 「国」の曲はどうやって生まれたんですか?

崎山 「国」は実家で和室から光が入ってくるのを感じて、エレキギターで弾き語りしながら、即興で録った20分ぐらいのやつをぎゅっとしたものが「国」という曲になっていて。

松本 20分!

崎山 でも未完成なので間合いが長かったりとか。ただ、その空気感みたいなのをぎゅっと、展開とかも流れていくような感じにできたらいいなと思って。あんな素敵なミュージックビデオを作っていただけるっていうのは、本当にいつまでもうれしくて。

松本 すごい楽しかったです。

崎山 見返しても、〈うわ~ステキやなあ〉って。ありがとうございます、ほんとに。

崎山 展開も素敵で、あの最後の〈逃げよう〉というところの、最後の、揺れるような追っていくようなところもすごい。

松本 そこはもともと考えてなかったシーンで、撮影してるときに、ふと思いついたんですよね。もう少し彼女の心情に寄り添った描写が欲しくなったというか…。

崎山 なるほど。それもすごいよかったです。

松本 いやあ、よかったよかった(笑)。

崎山 初めてのミュージックビデオだったので思い出にも残ってますし、すごい大好きです、ほんとに。こうやって、お話を聞けてうれしいです。そうだったんや、って思うところもあったり。あと、『とおとうみの国』っていう地元でやったワンマンライブの時にも密着してくださって、あれもありがとうございました。

松本 お父さんに会いましたね。

崎山 あ、お父さん(笑)。ありがとうございます。あはは。

松本 もともとお父さんの影響もあって、音楽を。

崎山 そうです。父、母の影響があって音楽を始めました。

松本 あそこのライブスタジオで練習を?

崎山 そうです、地元のスタジオで、バンドもやってたときとかによく使っていて。レコーディングをしたこともあったりして。スタジオでワンマンのリハをしてるときに松本さんが撮ってくださって、それもすごい記憶に残ってるんです。

松本 生歌をあんなに近くで聴けるなんて…感激でした。

崎山 結構つたなさが、今もつたない部分あるんですけど、より感じていた、自分にとってはそういう時期でもあったんですけど。現地での印象に残ってることとか、おありですか?

松本 ライブの朝に一緒に車に乗って。おうちからでしたっけ?

崎山 そう!拾っていただいて。

松本 家から会場まで行く車の中がすごい印象的で。ここがスーパーです、とか。

崎山 地元トークに巻き込んでしまって(笑)。

松本 めっちゃ地元(笑)。

崎山 ペットショップみたいなところに立ち寄ったりしたのも、覚えてます。

松本 行きましたよね、あはは。

崎山 ワンマンが終わったあとには、帰りのタクシーの中で「どうでしたか?」って聞いてくださって、そのまま僕は家に。

松本 そうでしたね。地元でライブをするっていうことは、あのとき以外も結構あったんですか?

崎山 ツアーするなら浜松は絶対に行きますし、コロナ禍になってからは、『とおとうみの国』っていう企画も開けてないんですけど、これは浜松でやろうかなって思ってる企画なので。ほんとに楽しかったです、ありがとうございました。

松本 こちらこそです。

崎山 あと『平成物語』もすごい考えさせられるドラマでした。まず脚本を読んで、すごい映像がよくて…。

松本 ドラマで描きたかったなんでもない日常、というところに曲がとってもマッチしていて。

崎山 そんな、恐縮です。松本さんが撮られる一つひとつのシーンが印象的で、うまく言葉に表せない部分もあるんですけど、情景から人へのカット割りっていうか、そういうのって意識してやるものなんですか? こういうの撮りたいなって思ってやってるのかなって。

松本 『平成物語』は、ラブストーリーだけど、それだけじゃない、それぞれの生活とか人生についての物語にしたかったんです。出演してもらった山崎(紘菜)さんと笠松(将)くんもオーディションをしたんですけど、お二人はカップルに見える方っていうよりかは、ちょっときょうだいっぽかったり、家族っぽい雰囲気にも見えるのが良いなと思いました。

崎山 なるほど。すごい… 感心してばっかりなんですけど(笑)。

松本 「泡みたく輝いて」というタイトルはどういう意図でつけられたんですか?

崎山 泡はシュワーって消えていっちゃうものなんですけど、シャンプーとかそういうのでも、気泡がすごいキラキラ輝いて見えていて、でも消えちゃうじゃないですか。そこがインスピレーションのもとで、印象に残ってるというか。

松本 めっちゃ好きです。

崎山 ありがとうございます。さっきの話ともかぶるかもしれないんですが、他のミュージシャンのMVも、曲を聴いて印象抱いたことを描かれてるんですか?

松本 そうですね。でもMVは曲が主役になるべきって考えたときに、どれぐらい具体的にして、どれぐらい抽象的にするかのバランスが難しいなと思っていて。やっぱり映画やドラマとはまた違うものだから、ストーリーが押されすぎてもよくない場合もあるし、かといって抽象的にいい感じのカットをつなぐだけみたいになっちゃうのも違うなと思っていて、そこのバランスはいつも悩んでますね。

崎山 松本さんが撮られた、Mr.ふぉるてさんの最近のMVを見たんですけど、歌詞の印象と映像の感じが、今のお話を聞いてすごく納得しました。

後編へ続く
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